平成30年4会定例会 一般質問では、学童クラブの質の向上について提言を行いました。
事業者の質の差を埋めていくために
流山市の学童保育は、平成24年度から保護者運営から指定管理者制度に移行され、指定管理者として5つの事業者(NPO法人や社会福祉法人等)が担っています。移行から6年が経過し、保護者から相談を受ける中で対応力に差を感じる場面も増えてきました。
指定管理者制度の目的は、多様化する市民のニーズ(こうしたい)に、より効果的に対応するため、民間の力を活かしてサービス向上を図る目的がある一方で「(こちら)」、市は、各学童クラブが適切に運営されるよう運営主体を監督する義務があります。
「適切な運営」「質がいい」とは?
「適切な」や「質」という言葉は漠然としており、イメージが人それぞれ異なってしまうので「学童クラブ事業の目的」に即した項目について質の低い例、高い例について具体事例(あくまで1例)を提示してみました。
このように事業者が、どのような運営をするかによって歴然たる差が発生します。よって、これをどのように改善していくのかの政策提言を行いました。
(1)各事業者の育成方針を確認する必要があるのでは?
民間の力を活かしながらというのが指定管理者の良い所です。よって流山市学童クラブガイドラインにある育成支援の指針に即して、事業者の方針を確認してはどうか、入所時の面談を実施してみてはどうかと提言しました。回答は以下です。
【市の回答】
事業者の育成方針については、市は年2回、満足度調査の実施時にヒアリングを実施しており、アンケートの意見への対応や運営方法について協議をしている。今後は、ヒアリングの中でガイドラインに関する内容についても事業者の方策や考え方を確認できるように検討したい。入所時に面談を実施しているのは7事業者のうち2事業者。入所時に面談を実施していない事業者は、入所時に各家庭の状況を確認するなど児童・家庭の状況把握に努めている、また学童クラブ入所後は状況に応じて面談を実施するほか、学校、指定管理者、教育総務課の三者で行う協議の中で必要な情報交換を行っている。
⇒入所時に面談を実施していない事業者でも、情報収集しているとのことでしたが、1年生というのは環境変化も著しく、小1プロブレムなど、問題も発生しやすい時期です。いざという時に対応できるように、仲の良いお友達が誰なのか、おやつは何が好きなのか、親御さんとの関係はどうなのか、等の情報を入所前に収集しておくことは重要なことだと思います。よって確実に面談などを実施して、情報を直接収集するよう求めました。
(2)質を検証する仕組みづくりが必要では?
支援員の方々が自己評価を行う仕組みと、育成支援に沿った保護者アンケートの項目の必要性を求めました。
先日参加した「自己評価や第三者評価についての勉強会(学童保育を運営されてきた方々自らが主催)」では、評価は「悪い所をあげへつらう」ツールなのではなく日ごろの実践を振り返り、気づきを得て、子ども達や保護者、同僚の方との関係性をより良くしていく前向きなツールということが強調されていました。
ア. 支援員の自己評価を促してほしい
運営の問題を指摘すると「近藤さん、、、資質の問題もあるんだよね・・・」という話をされるのですが、その方の資質に留まらせずに、具体的な項目指標に基づいて振り返り、共有し、組織的な知識にしていくことが質のマネジメントとして重要です。
「どの子も笑顔で居られるために」(下浦忠治著)には、支援員の自己評価シート例が具体的な項目として記されているので、事業者に情報提供してほしいとお願いしました。
イ. 保護者アンケートには育成支援の具体的な項目を入れてほしい
現在流山市が実施している保護者アンケートは、項目が漠然としていて育成支援の内容が見えにくい項目になっています。
一方、国分寺市では、漠然とした育成支援がより具体的に想像できるような項目になっており、良例として紹介しました。保護者側も、育成支援についてはイメージしにくいと思います。具体的な項目として聞くことで支援員との共通理解を深めて頂ければと思いました。
【市の回答】
〇自己評価やアンケートの項目を、ガイドラインの育成支援の指針に即したものに変更することを研究していきたい。
〇育成支援の内容に関する第3者評価や監査については、現在は実施していないが、今後の導入については、近隣市の状況を含め研究していきたい。
⇒アンケートは実現しそうです。また自己評価の参考例は事業者にご紹介いただきたい旨、強く要望しました。
(3)研修体制の強化にむけて
事業者の経営層を含めた研修、新人研修、巡回相談(OJT)の強化を求めました。
【市の回答】
各法人に経営層を含めた研修強化を呼びかける、新人研修については好評だったことから継続していく。県が主催している研修を紹介したり、市が主催している研修への参加の呼びかけを強化する。更なる研修のあり方については、学童クラブ運営法人連絡協議会と協議の上、研修を充実していきたい。
⇒学童クラブ運営法人連絡協議会へは、議会を通じて声が上がっていることを伝え、研修充実を訴えてほしいと要望しました。
(4)国の学童保育の「従うべき基準」が「参酌すべき基準」となり事実上の基準を撤廃する方針になりそうだが、流山市はどうするの?
この背景には、ただでさえ人の足りない地方では、人手不足による学童保育の閉鎖も懸念されるため、多様な地域事情を踏まえて全部規制をするのは辞めよう、という趣旨で国と地方が意見交換してきた流れがあるようです。
学童支援員のしっかりとした資格要件に基づく処遇改善、社会的地位向上のためにも、個人的には、この動きは反対です。よって子ども達の健全育成を担う責任がある流山市の考えを伺いました。
【市の回答】
流山市は、流山市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定め条例」で定めている。市の条例では、支援の単位ごとに放課後児童支援員を2位以上配置すること、そのうち1人を除き補助員に代えることが出来るとしている。流山市としては現時点で条例の基準を改める考えはなく、現行基準のまま継続したい。
⇒基準変更はないとのことでした。「現時点で」という文言が入ってしまったことは残念ですが、この基準順守の意味を引き続き訴えていきたいと思います。
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