令和3年9月議会の一般質問(議員が市政全般について、執行状況を確認したり、問題提起や提案する、質問の機会)のその①について共有します。
流山市の児童虐待対策について
コロナ禍の中、児童虐待リスクが高まっていることを肌で感じたので、児童虐待対策について様々な調査を行ったところ課題が多いことが分かりましたので、取り上げることにしました。
この質問で達成したいこと
①流山市の児童虐待の現況を確認し、体制強化を促す
②千葉県との連携部分の詳細度をあげる(何があって、どこまで出来て、何が出来ていないのか)
③流山市における地域連携の方向性を詳細度をあげる
④要保護児童等に関する情報共有システムの利用促進
以下、要約して記載します。
児童虐待対策に特化した流山市の体制について
Q.流山市では令和2年度に「虐待・DV防止対策室」が設置された。室設置にいたる経緯・背景は?
A.子ども家庭課では、子育て支援係において、児童虐待を含む子育てや家庭の相談に応じていましたが、相談対応件数の増加や国の指針を受け、令和2年度から子ども家庭課内に専門職を配置した虐待・DV防止対策室を設置しました。
Q.「虐待・DV防止対策室」が設置されてから顕在化した児童虐待の傾向、このコロナ禍において特出している傾向は?
(子ども家庭課:答弁)流山市における児童虐待及びDV相談の窓口が明確化されたこと及び、市に寄せられる情報が一元化されたことで、市民や関係機関等から多くの児童虐待の情報が入るようになり、対応件数が増加しています。
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う相談対応では、経済的な問題や在宅勤務の広がりによる夫婦間トラブル、外出が制限されている中での子どもへの影響といった相談が増えつつあります。
⇒(近藤コメント)相談窓口が出来たことで顕在化。深刻な事案もあり、リスクが高まりつつある状況。
Q.それらをフォローする職員体制は?
(子ども家庭課:答弁)相談に迅速かつ適切に対応するために、心理士職を配置するなど、職員体制の強化を図り、子どもと家庭への迅速かつ適切な対応に努めています。
Q.虐待相談件数について、室が設置される前後の差は?その傾向をどう分析しているか?
(子ども家庭課:答弁)今年度4月から8月までに新たに受付けた児童虐待に関する相談は292件です。
虐待・DV防止対策室設置前の同時期と比較しますと、1.9倍増で推移しています。
(※令和元年4月から8月までの児童虐待相談受理件数:159件)
傾向としては、児童虐待の相談内容としても、緊急性が高く、児童虐待の程度が重いケースが増えており、様々な機関と連携しながら、迅速なかつ適切な対応に努めています。
Q.経験年数が長い職員は、1人あたり何ケース受け持っているのか。
経験年数が長い職員は、児童虐待や子育て相談等すべての相談を含み、180件相当のケース対応を行っております。
⇒(近藤コメント)通常は1人40ケースなので、1人180件は通常の4.5倍!!ベテランの方が倒れたら深刻な状況に。
Q.時間外対応の状況は?
(子ども家庭課:答弁)児童虐待の相談があった場合には、原則、48時間以内に子どもの安全確認を行うこととなっております。そのため、児童虐待の相談が増えている現状では、緊急度の高い案件など、夜間に対応することが増えております。
また、保護者や家庭の事情により、日中に訪問や面談が困難なケースについては、保護者や家庭の生活に寄り添った対応も必要になるため、午後6時以降からの対応となることも増えております。
記録業務については、日中に家庭等への訪問や面談対応を行ったり、様々な関係機関との連絡調整を行っているため、現実的に日中には、まとめることが厳しい状況にあります。そのため、記録業務をはじめ、その他、事務処理については、定時刻以降の残業時間に行うことが日常化してしまっている状況にあります。
Q.残業時間は?
(子ども家庭課:答弁)児童虐待の相談対応ケースが増えている今、訪問や面談、電話対応、記録や資料作成等のために、毎日3、4人の虐待・DV防止対策室職員が、概ね午後8時頃まで業務を行っています。
なお、令和3年度の4月~8月の実績といたしましては、虐待・DV防止対策室での時間外の合計は、798時間となっております。
また、1カ月ひとりあたりの時間外の平均といたしましては、約27時間となっております。
⇒(近藤コメント)人あたりにならすと27時間ですが、おそらく経験年数の高い職員に残業時間が集中していると推測されます。ベテランが倒れたら大変です。
流山市における家庭総合支援拠点の設置状況について
平成28年児童福祉法の改正で、第10条の2に市町村による拠点設置が努力義務として定義されました。
国は2022年までに全市区町村で「子ども家庭総合支援拠点」と「子育て世代包括支援センター」の一体的に運営できる拠点の設置を打ち出しています。
児童相談所が相談対応を行った児童のうち、9割強は在宅支援となっており、お子さんが家に戻った後、重篤な状況が生じる場合があるため、身近な市町村で継続的に支援する体制を強化する必要があるという背景があります。
Q.流山市は中規模型で設置済み。この拠点の目的と、流山市として特に重点を置いている点は?
(子ども家庭課:答弁)子ども家庭総合支援拠点とは、子どもとその家庭及び妊産婦等を対象に、実情の把握、子ども等に関する相談全般から通所や在宅支援を中心とした、より専門的な相談対応や必要な調査、訪問等による継続的なソーシャルワーク業務等を担う拠点のことです。平成28年6月に施行された「児童福祉法等の一部を改正する法律」において、市町村はこの拠点の整備に努めなければならないと規定されました。
このため、流山市では、児童虐待の予防や早期発見、対応を図るため、令和2年4月に設置された虐待・DV防止対策室を子ども家庭総合支援拠点として位置づけました。
Q.その人員体制は?
(子ども家庭課:答弁)現在、室長1人、ケースワーカー5人、相談員4人を配置して、相談等にあたるほか、常勤の心理士1人、非常勤の心理士2人を配置し、子ども及び保護者への心理的側面からのケアに加え、各ケースワーカーに対して、心理的側面からのアセスメントやケアに対する助言を行い、専門的技術的支援が行えるよう体制を整えました。
Q.人員体制を調査したところ、野田市と大分差がある、この差の理由は?
野田市の体制は、流山市の人員体制の3倍!です。
(子ども家庭課:答弁)野田市は事件を受けて人員体制を強化してきたのだと推測する。流山市も人員は足りていないので、人員体制の強化を担当課としても要望している。あとは流山市全体の状況を考える中で判断されるはず)。市だけでは在宅支援は出来ない。虐待の情報をいち早くキャッチできるよう、また家庭のサポートなども地域の様々なお力がお借りできるよう関係構築に努力していきたい。
(近藤コメント)⇒人員体制の強化は必須!議会にもご理解を得て人員体制の強化を要望していきたい。
千葉県事業の連携における課題について
千葉県では「千葉県子どもを虐待から守る基本計画」を策定された。この計画によると市町村と県の連携は5つ(①児童相談所②警察③研修強化④要保護対策連絡協議会⑤里親制度等の普及)ある。
Q.①児童相談所との連携は?
(子ども家庭課:答弁)児童相談所については、定期的な情報の共有と助言等をいただきながら、児童相談所と連携して子どもや家庭への支援を行っています。一方で、児童相談所で一時保護となったのち、家庭に戻る子どもたちについては、子どもの安全安心な生活環境を守るために、より一層徹底した安全プランの共有や役割分担のための事前の情報共有が必要となっております。
(近藤コメント)⇒在宅支援をするためには情報連携は必須。現在は問題あり。次回以降取り上げていきます。
Q.②警察との連携は?
(子ども家庭課:答弁)流山警察署や東葛地区少年センターとは、定期的な情報の共有や意見交換等を実施し、子どもへの虐待や非行の防止のために連携しております。
(近藤コメント)⇒警察とは顔の見える関係が構築できつつある(前進してます)。
Q.③研修強化での連携は?研修には何人行けていますか?
(子ども家庭課:答弁)毎年、千葉県では、子どもや家庭への支援を行なう市町村職員や県職員を対象とし、職員の経験年数に応じた研修のほか、子ども家庭総合支援拠点や要保護児童対策地域協議会に配置される職員の資格取得、資質向上のための研修が企画されているため、可能な限り参加しています。
本年度は初任者研修に1人、児童福祉司任用資格取得のための研修に2人、合計3人の職員が参加しています。人事異動に応じて、子ども家庭総合支援拠点の運営に必要な最低人員確保ができるよう研修に参加しています。
(近藤コメント)⇒千葉県の研修は充実しており、より多くの職員を送り出したいものの、日常業務が回らなくなるため出せないジレンマがあるようです。児童虐待対応は専門スキルが必要になりますので、しっかり研修にいける人員体制を要望していきます。
Q.④要保護対策連絡協議会での連携は?
(子ども家庭課:答弁)市町村児童虐待防止ネットワーク機能強化事業により、市町村に児童虐待防止のための助言指導を行う専門職を派遣しています。要保護児童対策地域協議会の個別支援会議や、同協議会関係職員を対象として開催している流山市主催の児童虐待防止対策研修会の講師として派遣いただくなど、当該事業を積極的に活用しております。
(近藤コメント)⇒相当な課題があると思うので、次回以降取り上げていきます。
Q.⑤里親制度等の普及での連携は?
(子ども家庭課:答弁)また、現在、保護者のいない児童や被虐待児など社会的養護が必要な児童に対しては、可能な限り家庭的な環境において生活できるよう、里親による養護が推進されています。
里親制度については、都道府県が様々な役割を担っており、流山市においても啓発活動等を行っておりますが、市が把握している情報は少なく、里親とのつながりは乏しい状況です。里親制度の推進のため、千葉県と連携を図ってまいります。
(近藤コメント)⇒現在、全く連携の状況が見えませんので、改善提案をしていきます。
地域と共に行う虐待防止対策の可能性について
Q.市だけでは出来ないことがある。地域だからこそ出来ることは?
(子ども家庭課:答弁)児童虐待の予防や早期発見のためには、地域との連携は欠かせないものです。
今年度は7月に民生委員児童委員協議会の地区定例会に出席し、情報の共有と地域での見守りのポイントを説明させていただき、協力の依頼を行ったところです。民生委員や主任児童委員等、地域で活動されている方々は、日常生活の様々な場面で子どもや家庭の変化に気づくことができます。児童虐待の早期発見や防止のために、子どもや家庭の状況に心配がある場合には、躊躇することなく市や児童相談所に連絡を入れていただくよう、依頼を行っております。
また、子どもや保護者が地域の様々な活動に参加して地域とつながりを持つことは、子育てに対する負担の軽減と社会性を育むことにつながり、児童虐待等の防止には大変効果的であると考えております。今後も子ども食堂やフードバンク等、地域活動を展開する団体との連携に努めてまいります。
また、児童虐待防止活動の周知や地域との連携を図るためには、市民向けのシンポジウムを開催することが効果的であると考えています。
令和2年3月に、シンポジウムの開催を企画していましたが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、中止となってしまいました。
今後も感染状況を見極めながら、シンポジウムの開催について検討してまいります。
(近藤要望)民生児童委員・子ども食堂などの地域活動をされている団体との接点をより強固にしてほしい。明石市は、子ども食堂を「気づきの拠点」として位置づけ、連携方法を明確にしている。ぜひ参考にしてほしい(「こちら」のp.10)。
要保護児童等に関する情報共有システム導入に向けて
(子ども家庭課:答弁)児童虐待の事案では、転居した際の自治体間の引き継ぎ等、情報共有が不十分がであったことから、国が情報システムをつくっています。
Q.流山市における導入の進捗と課題、活用の見通しは?
(子ども家庭課:答弁)令和3年度から、全国統一の要保護児童等に関する情報共有システムの環境が構築されました。
当該システムは、要保護児童等が転居した際に、自治体間で的確な情報共有を図ることができ、児童相談所と市町村の間においても迅速に日常の情報共有を図ることができるものです。
要保護児童が転出し、転出先の自治体に情報提供を行う際に、正確な情報を速やかに伝えることが可能となります。また、柏児童相談所と流山市は、それぞれが保有するケース情報を常時、相互閲覧可能となるため、日常的に迅速に情報共有を行えるようになります。
現在は、国が開催するシステム研修会に職員が参加し、システムの機能や活用方法の理解に努めているところです。
当該システムを有効的に活用していくためには、多くの自治体がシステムを導入していく必要があります。各自治体の導入状況を把握しながら、適切な導入と連携に努めてまいります。
(近藤コメント)⇒他自治体も一緒にシステム導入しないと使えないシステムになってしまう。流山市は未導入のため問題なしだが、先んじてシステム導入をした自治体は無駄が生じる可能性がありそう。
提出通告
(1)令和2年6月、千葉県では「千葉県子どもを虐待から守る基本計画」を策定された。これは県行政としての責任を明確にするとともに、市町村をはじめとした関係機関と連携して、児童虐待防止に向けた取組をより一層強化する目的がある。そこで、流山市における児童虐待対策の現状と課題、県との連携について問う。
ア 児童虐待対策に特化した流山市の体制について
イ 流山市における家庭総合支援拠点の設置状況について
ウ 千葉県事業の連携における課題について
エ 地域と共に行う虐待防止対策の可能性について
オ 要保護児童等に関する情報共有システム導入に向けて
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