スポンジ化する都市にどう向き合うか?~人口減少時代の自治体議会の役割~でパネラーをつとめました。シンポジウムの概要は「こちら」。
第一部は、首都大学東京都市環境学部准教授の饗庭伸先生の基調講演で、流山市の街づくりを考える上でも大きなヒントを頂いたような気がしますので少しだけ共有します。先生の著書は「こちら」。
人口減と言われているが、都市計画的に考えればどういう現象なのか
日本は近代化の中で急激な人口増を遂げて来ましたが、今後は急激な人口減少時代に突入します。
人口ピラミッドの変遷を見ると、日本は1930年頃の医療などが発達していない国から発展を遂げ、生まれたら確実に60歳くらいまで生きられる国になったことが分かります。
ピラミッドを見ると、ベビーブーム世代(1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年))と言われる他の世代より人口が極端に多い世代の存在があります。この世代が日本の発展を支えてきたわけですが、医療が発達しこの方々が亡くならずに無事に寿命を全うできるようになったことから、都市はこの世代と共に都市を拡大してきた歴史があります。
つまり、この世代が子育て期の時は学校や住宅が必要で、高齢者になれば高齢者施設(or機能)が必要になるわけで、その需要を満たすように都市が整備されてきたということです。特に子育て期においては、主要都市だけで必要な住宅数を賄えないため、主要都市の外延部に街を広げながら、ベットタウンとしての発展も実現してきました。
今後の人口減少社会は、この世代が自然減することで全体としての人口も減っていく事で日本が人口のピークを過ぎるということであり、日本の都市は日本が一番人口が多かった時代を一通り経験し、その後の縮退を迎えることだという、非常に腹落ちするお話でした。
饗庭先生の主張は、この人口減少局面に対し必要以上に不安を煽られることなく、賢く楽しく都市をたたんでいこうというもので大変興味深いのですが、流山市の場合は人口急増地域と緩やかな減少地域が混在していて少し複雑です。
全体が人口減少している中で、人口増加している流山市で新たな公共投資をする難しさ。
流山市はつくばエキスプレスを中心に局所的に人口が増加しており、このエリアでは学校がパンクしない様にしていく必要があります。これに対し「新しく学校をつくるしかないのでは?」というご意見も沢山いただくのですが、私は慎重に判断する必要があると思っています。と申しますのも、これまでは人口増局面なのでつくってもよかったでしょうが、これからは急激に人口が減ってきますので、安易につくってしまうと、すぐに使われなくなり大きな負債になる可能性があるためです。
この負債は間違いなく市民が背負っていくものなので、これからは人口増加局面でとられていた政策判断をそのまま適用することには慎重に判断すべきだと思っています(★安易な決断は危険★)。
しかしながら、どんな理由があろうと、子どもが学校に入れないということが無いようにしなければいけません。よって精緻な人口推計を基に下記の大方針を決めていくと推測しますが、今の時代背景から考えれば市は何とか◆1)で対応したいと考えるはずです。
◆1)新設はせず、増設&学区変更、場合によってはスクールバスなどを組み合わせて対応(その場合は負担をかける対象に対し代替政策が必要?)
※シニア世代は、学校が足りずバスや電車で学校に通われた方もいらっしゃると思います。
◆2)(どうしようもなければ)学校新設
私といたしましては、子どもの教育環境として居場所の質に主眼を置いた上で市民の方々のご意見を伺いながら意見をまとめて行きたいと思っていますが、先日も発信したように「もうちょっと待って」の心境です。
流山市は土地区画整理事業を実施してしていますので緩やかな人口増はありがたいと思いますが、急増は良くない。前述のように全体としては人口減少局面であることを考えれば安易な投資はリスクが高いと考えるためです。
私の主張は人口急増エリアだけの理屈なのではなく、流山市全体(もっと言えば日本全体)に関わる問題だと考えています。流山市にとって非常に重要な判断を迫られる局面だと思いますので引き続き情報収集の上、丁寧な政策提言をしていきたいと思います。
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