平成28年第3回定例会の一般質問では、人口急増で小学校がパンクしそうな状況に対する理由と対処策、今後の街づくりの方向性について質問しましたが、明らかになった要点を書きます。()は私のコメントです。
※これは、私のみならず、他の議員の方々も質問され、明らかになったことも含みます。
- 当初の計画より大幅に上振れ、小山小学校のみならず、おおたかの森小学校も増設の方向
※当初の計画では小山小学校が1学年3クラス、おおたかの森小学校が1学年4クラス。- 小山小学校の校庭は小学校設置基準を下回るほど狭くなっているが、教育環境に支障が出ないよう注力していく
(➡具体策はこれからという印象を受けました)- スクールバス・学区変更などについては研究中
(➡スクールバスは他の学校も小学生が減っていないので厳しいと感じる)。- 時限的にマンション建設時期をずらしてもらうなど、江東区で実施したような対策は行わない。
(➡人口増は嬉しいこと、でも急増は中長期的にデメリットが大きいと思う、何等か対処すればいいのに)
※高度地区の絶対高さ制限は反射的ですが有効に働くかもしれないとのこと。- 今後も市は人口誘致政策を進めていく。立地適正化計画によれば、区画整理地の人口密度は1ha、80~100人位とある。
(➡増え方が急だとインフラ整備が追い付かない可能性もあると思う)- 駅前の商業地域に容積率300%の未開発の土地があるが、仮にこのすべてがマンション建設されると1800戸規模。
(➡ここ数年でマンションが建設されれば、子どもの施設はパンクすると思う)- 現在は小学校の人口推計は3年後までしか行っていない。
(➡中川議員が厳しく指摘、人口推計について検討する方向に。これは是非やってほしい!)- こんな事態になっているにも関わらず、立地適正化計画の現状分析が薄い。
(➡分析結果を公開していなかったが、公開するとのこと。初めから公開してほしい。。)
学校がパンクしそうになっているにも関わらず人口誘致政策は進めていく、受け皿は対処療法的に用意していく。きちんとした現状分析と人口推計、将来展望が必要だがそれが薄い。もろもろ残念ではありますが、今回それがよく分かりました。あきらめず引き続き提言していきます。
では、詳細を述べますが、複雑なので複数回にわたって書きます。まず現在発生している問題点について共有します。
【TX沿線沿いに子どもの人口が急増、小学校は増設増設・・】
日本全国が人口減少で悩む中、ありがたいことに流山市は人口が増えています。しかしその増え方が妥当なのか、議員としてチェックしなければと調べていた所、子どもの人口が急増、色々なひずみも発生してことが分かりました。
資料②をご覧ください。これは平成28年までは小学生の在籍児童数を、平成29年からは、平成28年4月1日の住民基本台帳に登録されている子どもの人口(0~5歳)を町字毎小学校区単位で示しプロットしたものです。
※平成29年度以降は単純な推計値。平成28年度の児童の在籍数と住民基本台帳の値の差分を割り戻す程度で補正、減衰なし、社会増なし
これを見ると6年後の児童数は小山小は2.1倍、おおたかの森小学校は1.6倍、南流山小学校は1.5倍(いずれも対H28年)と、びっくりする数字でした。これは現在建設中のマンションは入っていませんので、これより増えることも予想されます。
【小山小では問題も顕在化、それに対する見解を伺いました】
資料③をご覧ください。これは現在工事中の校舎図面ですが、増設後は、校庭面積は7200㎡程度になるとのこと。小学校設置基準で児童数が721名以上の学校は原則7200㎡以上ということですが、小山小は最低面積になります。この数字で児童数で割ってみると1人当たりの校庭面積は8.78㎡です。
これがどの位の値かというと、右の表、児童1人当たりの公立小学校屋外運動場面積(2009年)「こちら」で見ると最下位にも入っていない値です。この7200㎡にはビオトープなど、子ども達が入れない場所を含めた面積ですから実際はさらに狭くなります。トラックに外接するように面積をとってみると2400㎡となり、これは1人以上240人以下の学校の運動上面積です。
はたして、これは流山市を選んで転入してきた方が望んだ姿なのでしょうか。
小学校設置基準は最低基準面積を規定しながらも「地域の実態その他により特別な事情があり、かつ、教育上支障が無い場合は、この限りでない」という例外規定がありますが、流山市はこれにあたります。つまり、特別な事情になっているということです。
これについて教育長の見解を伺ったところ、「小山小学校には低学年が遊べるスペースがある、広い体育館もある、子どもの教育に支障がないよう、全力で考えていく」とのことでしたが、流山市の学校は、学力・気力・体力の三つの柱を掲げて教育活動を行っていますので、体を動かせる場所が極端に狭いことによる影響については注視しなければいけません。
現場の先生方の本当に大変な苦労が想像され心苦しいですが、議員として子どもたちの教育環境に関する妥当性については、厳しくチェックして必要があると思っています。
しかし今後は、小山小学校だけでなく、TX沿線地域のおおたかの森小学校、南流山小学校でも注意が必要です。これらはすべて局所的な人口急増がもたらしている歪だと思いますので、当初の計画についても伺いました(他の議員の方々の一般質問からの情報を含めて追記します)。
【当初の人口密度の想定と現在の状況は・・?】
土地区画整理事業地の人口密度について、当初の人口密度の想定を伺った所、(都市計画運用指針に基づき)1haあたり100人と想定しているとのことでした。実はこれ、かなりの高密度です。急速に開発が進めば他の公共施設への影響が必須と推測しますが、現在の進捗については、換地処分が行われるまでその区域の人口を算定できないということで分からないとのことでした。
耳を疑う話ではありますが、正確な数字を求められる行政では何とかして推計するという文化があまり無いようです。街づくりは計画通りに行かないと思いますし、人口予測も大変難しいことは重々承知しておりますが、予想以上のことが発生しているのであれば、俯瞰と少し先の展望を具現化しながら考えていくしかないはずです。そしてそれをちゃんと市民に公開していかなければ説明責任を果たしたことになりません。
【いまさら人口誘致政策を辞めるとは言えない・・?でもそれでは中長期的な街の価値も落ちていく】
流山市は土地区画整理事業を行い、住民誘致を進めてきました。土地区画整理事業の区域と進捗は下図を参考にしてください(平成27年6月16日更新)。土地区画整理事業の意味は「こちら」にありますが、要は、整形されていない土地について、道路や公園、公共施設などに必要な土地を所有者から少しずつ分けてもらいながら整えることで、宅地利用の増進を図る事業です。この事業によって、所有者は土地の面積が減ることがありますが、街がきれいになることで価値があがり、それを相殺するという仕組みです。
一般質問2日目の根本議員の質問(こちらのp.9)では、市は今後も人口誘致政策を進めていくと答えています。土地区画整理事業を進めるにあたって、市は土地所有者の方々に「街が良くなりますから」と、この事業に理解を求めてきたと推測しますので、いまさら住民誘致を進めないということは出来ないのだと推測しますが、(市の政策が功を奏したこともあり)選ばれすぎてしまっている状況で公共施設(保育園・学童・学校)が追いつかないという問題が発生しているのです。
繰り返しますが、人口が増えること自体は自治体にとってはいいことだと思います。
でも「急増」は、直近でも中長期的にも問題が発生すると思います。
同じ世代が急激に増えるとこれが同時に歳をとっていきますから、加齢とともに必要な行政需要がスライドしていくわけで、今頑張って児童に必要なインフラを整備したとしても、将来長きにわたって必要になるのか等、中長期では難しい運営を迫られることになります。また、資産価値面から考えても、多様な世代がいる地域でなければ資産価値も低下していくでしょう。所有者もリスクを負うことになると思います。
実はこれ、これはベットタウンの積年課題だと思います。
「一気に人口増、一気に高齢化」そういう地域を想像してみてください。
ずっと住みたい街になるでしょうか。
続きはその2にて。
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