以下、主張の概要です。
◎大規模化していく学校運営の効率化や、特別な配慮が必要な子ども達のためにテクノロジーを利用すべきとして、ICT教育の導入研究を求めたところ、新設小学校については(新設という利点を活かし)無線LAN環境下で使用できるタブレット端末などをはじめとするICT環境の整備を検討していきます、という回答を頂きました。
◎新設小学校建設に際して住民から強い要望があった下記の項目について検討の進捗を確認しました。
1)広い校庭について
⇒敷地の制約があるため際限なくということは難しいものの出来るだけ確保していく
2)自然環境を活かした教育プログラムについて
⇒立地の特性を活かした自然体験活動を検討していく
以下、上記主張について補足いたします。
新設小学校については「どううまく立ち上げ、どう軌道に乗せるか」という意味でも重要だと考え、現在の学校を取り巻く環境が想像できるデータをいくつか共有させて頂きました。
これは文部科学省の、通級の児童生徒数と比率の推移を示したものです。
児童の発達に応じた対応が進化してきているという背景もあると思いますが、平成17年度と比べて10年間で2倍強の増加となっており、全児童生徒の比率からすると約1%に。特別支援学級の児童生徒数を合わせると約3%になるとのことです。個別対応にも限界がある日本の教育環境で「先生は大変だな!」と感じます。
学校におけるICT環境構築は日進月歩であり、子どもの状況に応じてオプションを変えられるのがテクノロジーの素晴らしい所です。例えば、お子さんによって文字から学ぶのが良いのか、音声からがよいのか個別の対応が可能です。配慮が必要な子ども達の教育にこそ一番有効だと思っており、その利活用を考えて行ってほしいです。
これは先生方の1週間の労働時間を調査したものです。全体としても60時間越えと、日本の教職員はOECD諸国内で一番多忙であり、この10年、小学校教諭でいうと約4時間も増加していて深刻です。学習指導要領改訂による教科の増加が主な要因であり、次期学習指導要領の開始により更に拍車がかかることが予想されます。ICT環境構築によって子どもに有益な教材を1からつくる必要がなくなるため、教師負担の軽減につながると考えます。
これは、文部科学省が調査した公立小中学校の年齢別の教員数割合です。一目瞭然で若い人が少ない。全国的には、団塊世代の大量退職などから教員不足であり、中堅教員が少ないことからノウハウ継承が困難とも言われています。
これはあくまで国の動向ですから、児童が急増している本市においては、さらに顕著に直面すると推測します。
これら深刻な状況の上、学校は大規模化していく中で、1人1人に応じたきめ細やかな教育を実現するために、学習用ソフトウェア等をうまく活用できると良いと提言しました。
市は、論理的思考を育成するためのプログラミング学習を推進していくため新設小学校については、新設という利点を活かし、無線LAN環境下で使用できるタブレット端末などをはじめとするICT環境の整備を検討していくと回答いただきました。
個人的には、プログラミング学習もいいのですが、タブレットを導入するのであれば、学校の大規模化に伴い発生する先生の負荷を軽減する有効策、特別な配慮が必要なお子さんの学習面サポートするための有効策の2点の視点が重要だと思っています。私も調査を継続し有益な情報提供が出来るように頑張ります。
その他、児童推計推定の更なる精度向上を求めました(これは別記事で書きます)。
以下、議会での市とのやりとりです。
(2)新設小学校に行きたいと思っていただくための施策をどのように検討しているか。児童急増地区の小学校やその周辺小学校にICTを活用した教育環境の構築を実施してはどうか。
新設小学校の施設面での基本コンセプトは、
①児童の記憶に残る、新たなシンボルとなる木質空間・木造校舎
②人口増減に対するフレキシブルに対応可能な学び舎
③大畔の歴史を継承することや、新しい歴史を気づく地域コミュニティの形成
としており、新設小学校を木の学校づくりとして進めてまいります。
木材はやわらかで温かみのある感触、高い吸湿性など優れた性質をもっており、施設の木質化は豊かな教育環境づくりに効果が期待できるといえます。
また、大畔地区は豊富な地下水や清涼な環境により、ホタルの生息も確認されているなど、貴重な自然が残る場所でもあります。このような自然環境の中に立つ新設小学校は、木造化を進めると共に、内装も木質化し、周辺の自然環境と調和した魅力ある建物とします。
新設校の特色ある教育活動の内容については、立地の特性を活かした自然体験活動や、今後求められる学力の一つであります、論理的思考力を育成するためのプログラミング学習を推進していきたいと考えています。そのために、新設という利点を生かし、無線LAN環境下で使用できるタブレット端末などをはじめとするICT環境の整備を検討していきます。(3)通学区域説明会などで広い校庭を要望されているが、どうなっているか。本市は大規規模校に対応できる基準を独自で整備すべきでは?
学校建設は、社会情勢や地域性、及びその地域における学校建設に至るまでの経緯によって求められる条件が大きく異なってきます。
こうしたことを鑑み、施設の整備については、それぞれの施設計画の与えられた条件の中で、配置計画や動線などを工夫し、少しでも使いやすいよう個別に検討し、整備するものと考えています。
そのため、市、独自の基準の整備は考えていませんが、新設小学校については、出来る限り校庭を確保するように計画していきます。
> 様々な教育効果が期待されるICTの環境導入
ICT教育にとって環境の導入は必要でしょうが、環境導入はあくまでも手段であって、導入が目的にならないようにしていただきたいですね。
何を目的にどのような教育を実施していくのかを議論せずに環境だけ導入しても効果は得られないと思います。
ご指摘の通りです。ブログでも書きましたが、市はプログラミング学習のためとのことですが、私は、大規模学校の学校運営を円滑にするための(教職員負担軽減)、特別な配慮が必要なお子さんのための学習支援の方がむしろ重要だと考えています。