千葉市の商工会議所で、地域課題解決ビジネス普及事業 全国シンポジウムにて、高松丸亀町商店街の地域再生事業について話を聞いてきました。
西欧やアメリカ等では、建築を建てる場合、用途(住宅orお店)は勿論のこと、高さや外壁の質・色まで細かい制約を受けるようですが、日本は土地所有者の主張が優遇されます。
「土地所有者の権利が優遇される」これだけ聞くと聞こえはいいのですが、主張がバラバラになりすぎると、烏合の衆のようになり、街全体として資産価値を下げてしまう、つまり長期的には土地所有者も損をする、という問題があります。
そこで、丸亀町再生では、60年間定期借地権を利用して土地の所有権と利用権を分離、民間主導で街づくりを行うことにしたそう。実はこの事例、とても注目しており、是非視察に行きたいと思っていたのですが、今回ご担当の方が千葉に来られるということで、無理やり時間を作って聞きに行きました。
丸亀町再生の核心は、土地問題の解決(問題はこんなイメージ「土地所有者にどうにかしてほしくても要求できない」)。
- (商店街)商店街でシャッターの下りた店舗を貸さない
- シャッターが下りる店舗が多くなれば、回遊性もなくなり、全体としての賑わいが減ってしまう。うるさい、ほっておけと言われればそれまで。
- (農地)休耕田を人に貸さない
- 農地法により農地は税金が低く設定され、農地所有のコストは低い。このため多くの農家が農地を公共事業やショッピングセンターなどに転用することで得られる莫大な収入のために転用機会を待ち続ける。農地の流動化が進まず、農業に意欲の高い農家が農地を借りれない、土地が借りれない為、大規模化が図れない
- (被災地)土地が借りられず、仮設住宅がつくれない
特に、丸亀町再興を考える場合、中心に位置し、地方分権の中で自治体の稼ぎ頭である商業地域をどうするかが肝。
でも、魅力的な商品が無いのに、イベントを多発しても主催側が疲弊するだけで、業種転換のパワーも失っていた。
衰退を続ける商店街に投資できなかったため、いったん正しく、廃業させ(過去の借金の清算も含め)一体的にマネージメントすることで、新たな収入・税収を産む循環を再構築する必要があった。
そこで、60年間定期借地権を利用して土地の所有権と利用権を分離(60年経ったら土地を返す)、土地の利用については所有者の発言権を無くすことにより、利害調整の必要が無くなり、本当に必要なものと思われるものを最適に配置していくという開発が実現できています。
例えば、市民のイベントが自由に使えるこの広場。
よくある「耳の痛い」商店街の話の課題(流山がそうということではありませんが・・)。
イベントをやりたい市民が自由に活躍できるステージを作り(行政がやると食べ物を売ってはダメ等の制限が多くて大変なんだそうです)、年間206本のイベントが実現、すごい。
次に、高齢化を支える地域医療についても非常に斬新な提案がなされています。まずは問題点。
同じビルの中には丸亀町病院が入っているため、マンション(自宅)はまるで世界最高の特別病室のようになる。
そのコンセプトに惹かれた優秀な人材が、地元に帰ってくる。すごい。
街づくりは、もはや市民参画というではなく、住民主導で行政が参画する形。住民提案で地区計画までつくっちゃう。
土地を購入するか・否かのシミュレーション。至極ごもっとも。
税金を投入しての開発、ちゃんと費用対効果も算定されています。民間では当たり前の感覚だと思いますが、素晴らしい、惚れ惚れします。
その他、地権者にも、運用の配当が渡る仕組みになっていたりと、様々な工夫や成功事例が沢山ありました。
インターネットで「高松丸亀町商店街振興組合」と検索すると、資料がヒットしますので、ご参考になってみてはと思います。
いつか是非視察に行ってみたいです。
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