令和元年9月の一般質問では、インクルーシブ教育の推進について提言を行いました。
一般質問録画は「こちら」です(※InternetExplorerか携帯でご覧ください)。

きっかけは親御さんのこんな声からです。

①発達について悩んだ。市の相談で、どう悩みを相談してよいか言葉にできなかった。事前に色々と情報収集できれば戸惑わなかった。流山市のホームページが分かりにくく戸惑った。
②特別支援コーディネーターの顔が見えない。誰だか分からない。
③個別支援ファイルをもっと有効にする方法が分からない。先生に聞いても分からないと言われる場合がある、どうしたらいいのか。

インクルーシブ教育を推進し、二次的な問題が子どもに生じない環境にしたい

インクルーシブ教育という概念をご存知でしょうか?
インクルーシブ教育とは、特別支援の進化版の概念です。
特別支援は本人ができることを頑張るように支援するのに対し、インクルーシブ教育は、自立の社会参画を妨げている原因を社会のあり方との関係で捉えて、周りが理解したり、環境を変えたりすることで社会参加を可能にする(みんなでできるにする)素晴らしい概念です。
しかし、これには、みんなの理解が必要です。情報発信がとても重要になります。

私がこの概念を推進する推進する目的は、2次的な問題を発生させない環境にしたいからです。

本人の困難さが、発達障害に起因する場合、外見からは分かり難いゆえ、怠けているとか、反抗的などの誤解を受けることがあります。知識がないと本人や保護者も課題に気づきにくいため、必要な指導、支援につながらないと、この積み重ねが原因で自己肯定感が低下してしまい、問題行動や身体、精神症状、社会との断絶など、2次的な問題(いわゆる二次障害)につながる可能性が高くなります。
これを最小限に食いとめること、つまり早い段階における適切な対応が出来る環境にしたいのです。

以下、提言になります。市からの回答について、既に行われていること、今後対応していくことをまとめました。保護者の皆様は是非、実態としてそうなっているのか等、ご連絡頂きたいと思います。

Q1.ホームページでの情報発信をしっかり実施すべきでは?

流山市のホームページは、情報が整理されていない(下図のような)状況が横行しており、とても情報収集できるような状況ではありませんでした。

そこで、良例として千代田区のホームページにおける特別支援教育のページを紹介し「こちら」修正していただくよう要請しました。

千代田区のホームページを参考にして修正すると回答頂きました。修正を楽しみに待ちたいと思いますが、特に以下の点が網羅されるのかチェックしていきます

a.特別支援が目指す姿や、早期支援が大切であることが明記されていること
b.特別支援の種類の説明と指導内容の例が明記されていること。
c.リーフレットもしっかり整備されていること
d.学習支援がどういうものなのかの説明があること
e.障害の種類(ADHDやアスペルガー等)の説明と、それに対する指導内容の説明が明確(自分の得意、不得意を知り、自分に合った学習方法を習得する、人とのコミュニケーションを円滑にするために身につけること等)
f.手続の手順が明確であること
g.個別支援ファイルの作成例が掲載されていること
h.引き継ぎを徹底することが明記されていること
i.参考リンクなどが記載されている

Q2.入学のタイミングで全ての保護者に対する啓発を行ってはどうか

既に行われていること:小学校へ入学の際には入学前の入学説明会、また入学後には保護者会全体会等で説明を行い、その際インクルーシブ教育について伝えている。毎年4月には流山市特別支援教育のパンフレットを新入生、転入生の保護者全員に配付し、流山市のインクルーシブ教育について周知を図っている。そのパンフレットに特別支援学級、通級指導教室の設置状況、相談窓口についても掲記している。

今後:インクルーシブ教育、特別支援教育についての理解を深めるため、保護者の皆様への周知の仕方を検討していく、とのこと。
近藤からは、当事者意識を持っていただくため「インクルーシブとは?」という切り口ではなく、保護者が感じる困り感を切り口にした説明をすることを要望しました。

Q3.小中学校への進学のタイミングなど、ライフステージが変わっても連続した支援を継続させるため、入学前相談体制を強化してはどうか

既に行われていること
・子どもたちが小中学校へ進学する際は、連続した支援を継続させるため、児童発達支援センター、保育園、幼稚園、認定こども園、小学校、中学校と連携し、指導体制、支援内容の引き継ぎを行っている。小中学校への入学後は、
・新旧の担任、指導担当者間で引き継ぎを行っている。

今後
a.現在、新年度の指導内容、支援内容の合意形成を図る面談の際、前年度の担任あるいは指導担当者は同席していないが、引継ぎについては、特別支援教育コーディネーターが情報を集約し、支援を継続していきたい(担任も一定の時期が来ますと異動があったり、全て前担任がその学校にとどまっているわけではないため)。関係職員の同席については、必要に応じて柔軟に対応する。
b.児童生徒の同席については、一概に全て同席させるということは難しいが、教育委員会や学校が必要であると判断する場合は同席を促すことも検討していきたい。

Q4.個別サポートファイルの作成と活用については、全教員を対象に研修を強化してはどうか

子どもの発達の支援は理解は、非常に専門性が高く難しいが、知れば知るほど有用性を感じていてる。特に最近はグレーゾーンと言われるお子さんも多い中、早期に支援をする意味でも教師のスキルとして重要な柱になるのではないか。通常級を含めた全ての先生が活用できることを目標にしてはいかがか。

既に行われていること:専門職や担当には研修を実施
・教育委員会では、全小中学校の特別支援コーディネーターを対象に、特別支援教育推進研修会において個別サポートファイルの作成と活用についての研修行っている。
・学校内では、担任が個別サポートファイルを作成する際に特別支援教育コーディネーターや管理職等から個別に作成方法への指導が行われている。さらに、通級学級に在籍する特別な支援を要する児童生徒に対して指導、支援を行う学習サポート教員、指導員には、個別サポートファイルの活用について学習サポート教員、指導員研究会の研修内容に取り入れている。

今後:全教職員が個別サポートファイルを作成できるようにしていきたい
・インクルーシブ教育に対する理解が進み、個別サポートファイルの作成件数はますます増加していくと予想されるため、全教職員が個別サポートファイルを作成できるように、特別支援教育コーディネーターから伝達講習や実際に個別サポートファイルを作成する実践研修、千葉県東葛飾教育事務所の指導主事を招聘しての研修など現在行っている。研修の事例を各学校に周知できるよう、指導、助言に努めていく。

個別サポートファイルの運営については、以下を要望しました。
「次年度このタイミングでこういうように確認してください」というのをあえて欄を設けて、強制的にそのタイミングで見直すシステムを実現している」千代田区の個別サポートファイルを参考にし運用改善してほしい。

Q5.個別サポートファイルは一生もの、課題も含めて記載することを徹底していくか?

将来進路先を見据えてフローの終着点が進路先であるところまで、千代田区ではしっかり書かれていることを共有しました。個別サポートファイルは生涯にわたって使うものであり、出来た記録のみならず、どんな環境で何が課題で、どんな目標を設定して、どこまでできて、できなかったのか、特に頑張ってもできなかった困難さをしっかり残して次につないでいくということが重要であり、それが研修に網羅されているのかを確認しました。

今後:努力する。
個別のサポートファイル、生涯にわたっての記録、そしてそれを活用していくということは本当に大切なこと。まさに教育は小中学校、あるいは高校も、あるいは大学も含めて、そこで完結する、あるいはクローズするのではなくて、その後も続くという観点からはまさに必要なこと。よって、十分検討して、活用の方向に向けて努力する。

Q6.特別支援コーディネーターが顔の見える存在ではないという声を聞いているが?

既に行われていること
特別支援教育コーディネーターは、教頭、特別支援学級担任、通級指導教室担当者、担任などと現在は兼務をしている状況。学校においても特別支援教育コーディネーターとして、学校だよりや入学説明会、保護者会全体会で紹介に努めている。

今後
もう少し顔の見える姿をどうやってやればいいかも検討しながら努力をしていきたい。周知を図り、とりわけニーズ等がある場合、あるいは必要とされている保護者の皆さんには特に顔の見える関係を紹介していきたい。

Q7.専門スキルを持つ方に各校を巡回してもらい、指導時に同席、アドバイスいただく体制を強化してはどうか

既に行われていること
教育委員会では、千葉県の特別支援アドバイザー、スクールソーシャルワーカーに学校への巡回の要請を行っています。さらに、流山市スクールカウンセラーも必要に応じて巡回しており、児童生徒の実態に合わせた専門的な指導を受ける機会を設けている。巡回指導につきましては、学校からの要請に応じて適宜行っており、教員の指導力向上につながっている。

今後
・適切な巡回指導の機会が設定でき、児童生徒の一人一人のよりよい成長につながるような体制づくりに努めていく。
・要請が学校あるいは担任等があれば、優先的に専門のアドバイザーを配置できるように努力する。

Q8.分かりやすいリーフレットを作成してはどうか

分かりやすいが情報が古い面もある。情報を追加して改変してはどうか。改変にあたってはユニバーサルフォントを使用してはどうか。

今後
用語集を整理し、リニューアルを検討したい。その際、ユニバーサルデザインフォントを使用する。

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