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WomanShift全国研修 金沢市児童相談所

2017年4月28日
約 1 分

4月26日、27日と、全国超党派の若手女性議員がスキルと技の共有をするネットワーク「WomanShift「こちら」」の全国研修会に参加してきました。全国の優秀な女性議員と出会うことができて本当に嬉しくなりました^^。引き続き関わりをもたせて頂こうと思っております。

全国研修はワークショップ&視察の構成で非常に充実していたのですが、中でも金沢市の児童相談所(教育プラザ内「こちら」)のご説明が印象的でしたので報告いたします。


金沢市の基本情報

金沢は人口が45万人の都市で、そのうち7.3万人が児童人口である。1934年以降に民生児童委員、町内会、婦人会、青年団など、地域の代表が理事・評議員となり運営に関わることを特徴とした善隣館思想が根底にある自治体。善隣館思想とは、地域の子ども達は地域で守るという、高齢者、障碍者も、ひとり親のご家庭も地域に根差して支えるというもの。これが前提としてあるからか、人口46万人の街で、放課後児童クラブが88箇所、保育所112箇所、児童館が32箇所と子どものための施設も充実している。行政からお願いすることは少なく、地域住民からやりたいという声が上がってくる風土である。

児童相談所(子ども総合相談センター)の創設

中核市で児童相談所を持っているのは、金沢市と神奈川県横須賀市の2市のみ。NTT拠点施設を改装し、教育部局と福祉部局が同じ建物内で連携し子どもの健全育成を支援する拠点施設として平成15年、金沢市教育プラザが開設した。地域教育センター、研修相談センター、子ども総合相談センターの3つの機能が相互に連携を図りながら、子ども達の健やかな育ちを一貫してサポートしている。

機動力を発揮できる環境

同じ建物内様々な機能があるため(30分程度で必要機能が網羅でき)機動力が発揮できる。一時保護所が併設されていることもメリット。保護した子どもの様子を担当が直ぐ見に行くことができる。朝礼前に朝行って、昼休み会いに行くなどする職員も多い。物理的に近いから出来るというのはあるだろう。子どもの様子を知っていることで、保護者とのコミュニケーションもスムーズになる。

福祉健康センター、保育所、学校などとも密接な連携が図られている。
通常の施設では、県に情報が入ってから市町村に基礎情報の問い合わせを経て、依頼文書を発行するという手続きをとる。その過程で対応が遅くなることも考えられるが、金沢市の場合は、1時間以内に基礎情報(人物や家族、職業や持ち家、人となり等)を把握することができる

子どもの処遇の最終責任者は自分達という気概

通常の要保護連絡協議会は県の児童相談所に判断を打診するため(後ろに控えている機関があるが)、自分たちの後に控えている機関は、家庭裁判所、警察署しかない。子どもの処遇の責任は自分達という気概を持っている。

例えば、子どもに「あざ」があり、保護者にその理由を聞くと1日目は「ぶつけた」と答えたとする。しかし次の日に違う所に「あざ」があれば、児童相談所の判断で子どもを保護することもできる。

泣き叫んでいても連れてこないとならないケースもあるが、あくまで子どもの最善の利益を考えて行動する

児童相談所はやることやっても叱られる機関。やられなくて怒られるなら、やって怒られたほうがいいと思っている。

切れ目のない支援のため2つの顔を使い分ける

重篤な事案になるまえに、どれだけ早く見つけ出し関わりを持てるのかが重要。金沢市教育プラザは市民に最も身近な相談期間でもある「子ども総合相談センター」という顔ももっている。介入が必要な場合に(児童相談所というと印象が悪いため)「子ども総合相談センター」だと介入しやすい。児童相談所の顔と子ども総合相談センターの2つの看板をケースバイケースで使い分ける。不安を抱えている親御さんから重篤案件までやるため職員は大変だが、やらなければならない。

課題は採用と人材育成

政令指定都市であれば、福祉専門職の採用を行なっているが、中核市で専門職採用をすれば、児童相談所しか働き場所が無い。児童相談所の仕事を30年続けるには相当メンタルが強くないと難しい(現実問題無理)。一方で児童福祉士のスキルのみだと児童相談所の業務をやりきれない。18歳未満のありとあらゆる相談をうける機関なのに、相談外の内容では対応できないでは済まされないし、生活保護受けられるのか等のソーシャル面での引継ぎも出来なくてはならないことから、福祉部署の業務を経験してスキルを上げていくのが重要
ちなみに金沢市では専門職採用というのは1人もいない。所長も含めて一般行政職採用である。

戦略的な人材育成のため、児童相談所を経験後、福祉関係部署の経験を3~5年経験して、児童福祉士に戻るというジョブローテーションを行うのが効果的だと考えている。

マニュアルの無い仕事の質をチームで高める(マネジメント)

金沢市では職員1人あたり、2・3校区の担当を持たせている。途中で担当者を変えることはしない。支援される側のことを考えれば、慣れ親しんだ担当者が変わってしまうのは大変なことであり「何で変わるんだ」というクレームにつながりかねない。一方、担当者は自分の担当が明確になることで責任感が育つことになる。困難もあるが、職員がうまく乗り越えて保護者との関係づくりについて主体性をもって考えてもらうことを目標にしている。係長は職員の人材育成を促すのが仕事である。

メンタルで休職などは1人もない。警察関係から「何で保護できないの?」と強く主張されることもあるが20代の職員でも毅然と対応する。
毎週定期的な会議を実施、援助方針を全件チェックしている。職員皆で共有し、1人で抱えない、優先順位をしっかりつけるように所長・係長も把握、アドバイスをする。

最後の責任は市が取る、最後の決定は所長が決めると言ってある。職員が「どれだけ前向きにしっかりと毅然と親にやさしくできる環境にできるか」気概をもった人事管理がマネージャーの仕事である。

素晴らしいマネジメントは民間経験者の採用枠から

金沢市では、平成9年から職務経験採用枠として民間経験者を採用している。その中には、運よく最低2~3人の社会福祉士(有資格者)がいて、他部署含めジョブローテーションをしながらスキルアップをし、活躍している。施設長も平成9年に採用され、介護保険制度構築終盤に携わった後、部署異動を経験。ヘルパー300人の障害者福祉課に自立支援を立ち上げた後、平成20年に児童相談所の担当になり、子ども子育て支援制度の構築にも関わった。民間を経験しているからこそ市民とどう対峙するのかのノウハウもある。(近藤としてはマネジメントレベルも素晴らしいと感じた)

待っていてはダメ、機動力は「自ら出向く」の積み重ね

市民、小中学校、警察に自ら出向き連携をお願いしてきた。
まず市民について。
金沢市は市内が校下で分かれ校下毎に地区社会福祉協議会があり、民生委員・児童委員協議会が必ずあり活動も活発である。その方々達に児童相談所の業務の説明をしてきた。善隣館思想があるため熱い市民が多いため受け入れられやすいものであった。小中学校(教育委員会)には気になる児童生徒がいた場合には「とにかく連携してほしい」とお願いしてきた。
警察には、年1回連絡会をもっているが、これだけで連携はとれないので、積極的にこちらから出向くようにしたら、向こうも来てくれるようになり情報連携が活発化した。機動力というのは「こちらから出向く」の積み上げで成り立っている。最近では、個別のケースに対する問い合わせも沢山来るようになり、そのことが、早期に情報取得できる仕組みになっている。関係機関に「最後までみてくれ」という無責任な対応ではない。児童相談書が最後は責任をもつという役割を明確に伝えている。

流山市政へどう活かすかの私見

平成28年5月児童福祉法が改正になった。この改正は、全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待については発生予防から自立支援まで対策強化を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うために「母子健康包括支援センター」の全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の措置が講じられるというものである。

流山市の場合、福祉局に相当する部署、教育委員会、女性の相談窓口は本庁の市役所にあるが、保険局に相当する部署は初石の保健センター、発達相談は児童発達支援センターに、少年育成支援室は生涯学習センター、地域子育て支援センターは市内14箇所に点在と個々の機能独立しており物理的に連携が取りにくい環境であるため、金沢市のように一方が入ってから30分~1時間で基礎情報が集められるという環境は作りにくいだろう。しかし、困っている方が必要な支援に届くまでに疲れてしまうようでは駄目だ。
流山市は平成29年10月から保健センターを中心として母子保健事業が開始する。母子手帳交付時から包括的なアセスメント(面接)を行い、支援が必要な妊婦は継続して支援を行うサービスだ。この設置をきっかけとして、担当者のアセスメント能力やヒアリング能力強化のための研修や、場合によってはジョブローテーションを戦略的に行っていくことが重要だ。また支援者に対する担当を明確しつつ、連携先の課と、よりスピーディに情報収集を行えるような体制構築(例えば情報提供から1時間程度で基本情報を得られる体制を作る等)が必要である。
また、「重篤な事案になる前に、早く見つけ出し、一刻も早く関わりを持てるのかが重要」というコメントがあったが、これは市町村の役割が求められる。要保護連絡協議会に現在は不足している民間のNPO等もメンバーとして入れるなどの機能強化や、幼稚園・保育園・小中学校等の関係機関や子育て支援センター、地域のNPO、柏市にある児童相談所との連携強化が必要であろう。
一番影響が大きいのはマネジメントと人材育成だろう。金沢市取り組みは素晴らしかった。担当者が主体性をもって取り組めるよう担当校区を明確にする一方で、特定の職員の負荷が高くならないよう定例会におけるケース全件共有や課長・係長がフォローする等の体制が確立していた。職員が「どれだけ前向きにしっかりと毅然と親にやさしくできる環境にできるか」というマネジメントがしっかり行われているため、ハードな労働環境でもメンタルダウン者がいない。今後流山市で仕組みを構築するためにも、流山市の現状を確認していきたい。

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