流山版 子育て世代包括支援センターの構築に向けて(H29.3議会:一般質問①)

流山版「子育て世代包括支援センター」の構築はどのように行っていくのか質問いたしました。

「子育て世代包括支援センター」とは下記3つの基本要件を満たすよう、自治体の関係機関が連携して切れ目ない支援を実施できるようにすることで、国ではおおむね平成32年度末までに、全国展開を目指すという方針になっています(くわしくは「こちら」)。

この方針の背景には、核家族化・地域の希薄化からか、身近に乳幼児がいない環境で育ったからなのか、子育てに不安や孤独に悩んでいたり、養育環境が充分に整っていない(ことを自らも気づかず)などの現状があるからと思われます。

実際私も新生児を見たのは自分の子が初めてという状態でしたから、特に長女出産後の子育てには非常に戸惑いました。24時間体制の育児は自分を追い詰めがちで衝動的な虐待が発生しないとも限りません。また昨今は第一子出生時の母親の平均年齢が30.7歳と高齢化しており(都市部ではもっと高いという話もございます)、母体の高齢化によるハイリスク妊婦も増えていると推測されます。

もっといえば、初めての子育てで自分がリスクを抱えているのかどうかも気づかない場合も増えているように感じますので、流山市のように転入者が急増している自治体では、知らない土地での育児をする方も多いため、整備は急務だと思います。

「子育て世代包括支援センター」の流山市での現時点での取組み状況は下記です。私の独断ですが◎が問題なし、△が実施しているけれど利用者数や連携に課題がありそうなもの、×が実施なし と評価させていただきました。これを見ると、比較的必要機能は網羅されてきているように感じます。

そこで、次年度(H29年10月~)開始される妊娠届け時のアセスメント(面接)に関連して質問しました。

以下、母子手帳交付時の流れを「従来」と「今後」で比較したものです。

Q.従来はどんな事業?

妊娠届け出書と同時にアンケート提出を求めており、その内容によってハイリスク妊娠者を抽出し面接を行っていますが、提出された方のうち3%しか面接が出来ておらず、つまり要支援者の早期発見が出来ていない現状があります。実際、乳幼児全戸訪問事業で要支援者は32%と高く「妊娠時期からフォローできていれば・・」というケースもあるようです。

Q.今後はどんな事業になるの?

保健センターに面接専用スペースを設け、妊娠届出時に保健師などの専門家による面接を行い、妊婦の母体や子育ての環境(養育環境、家族環境など)に関する情報を収集・分析し、自立した子育て生活を営むために解決すべき課題を把握した上で、適切なサービスに連携する体制を整えます。
訪問活動も実施、子ども家庭課等、子育て支援関係機関と連携した支援体制を構築したいと考えているようです。また、産後支援メニューの一つとして、産婦人科や助産院との連携して産後ケア事業を実施していきたいとのこと。

Q.子育て支援センターとの連携が重要。松戸市を参考にして機能充実してみてはどう?

これは松戸市の子育て包括支援センターの体系図です。おやこDE広場(15箇所)と地域子育て支援センター(4箇所)が各々の連携会議を活発に行っております保健師を施設に派遣し、相談・講座も実施され非常に充実しています。また「子育てコーディネーター」という子育て支援のスペシャリストがいることが松戸市の何よりの特色です。

「子育てコーディネーター」はワンストップで子育ての相談を受けたり多様な子育て支援サービスを紹介したり、適切な子育て支援機関につなぐお手伝いをされるスペシャリストです。

(出典)まつどDE子育てこちら

流山市の子育て支援センターは市内15箇所設置されていますが、要望のあった数か所の地域子育て支援センターに、保健センターの保健師が出向き、健康教育や育児相談を実施しているのみです。とにかく頑張っている支援センターとそうでない所の差が大きい。また、地域子育て支援センター職員が保健センターで行っている両親学級に参加し、地域子育て支援センターの利用を呼びかける取組みなどを行っていますが、これも全部の地域子育て支援センターが実施しているわけではなく、連携はイマイチなので、これを正しました

今後は、保健センターの保健師が「地域子育て支援センター担当者会議」等へ参加するなどし、情報共有を行いながら、連携体制の強化をしていきたいとのこと。人材については、これまで保育士が地域子育て支援センターに配置されていましたが、今年度から実施している子育て支援員研修で地域子育て支援センターに従事する支援員を養成し、地域子育て支援センターの充実を図るために活用を促していくとのことでした。

Q.母子手帳交付時の面接が始まるなら、乳幼児全戸訪問事業について、利用者支援の機能を充実できる体制を整えた方が良いのでは?

母子手帳交付時に面接を行い、ハイリスク妊婦がキャッチしフォローできるのであれば、乳児全戸訪問事業では、地域にどのような子育てサービスメニューがあるのかを紹介したり、NPOとつなぐような利用者支援の機能をメインにした方がよいのでは?という提言をしました。
乳児全戸訪問事業は生後2か月から4か月の間の事業ですが、この時期は子育てに関して日々の戦いとなるため、一緒に子育てを楽しめる友人や、子育ての不安を気軽に聞ける先輩につながると辛い子育てが楽しい子育てに変わる場合が大いにあるためです。

しかしながら、現時点での回答は、乳児全戸訪問事業は、ほぼ全数に近い家庭を、保健師や助産師等専門職が訪問し、母の心身の状況について産後うつの判定を行なっており、里帰り等接見が難しいケースも多々ある中で、速やかにその後の支援につなげていく、高い専門性が求められる事業であることから、保健センターの保健師で行っていきたいとのことでした。

流山市の母子手帳の交付はおおたかの森S.C.の出張所が全体の5割と高く、保健センタ―での母子手帳交付では全数の面接を網羅できないため、乳児全戸訪問でカバーしたいからという理由もあるようです。

おおたかの森S.C.の出張所での配布が多いのであれば、おおたかの森S.C.で配布出来ると良いですが、エスカレーションなどの連携も必要ですから、軌道に乗るまでは保健センターから開始し、実態を見ながら体制を整えていきたいという事なのでしょう。

一般質問を契機にこちらから他自治体の研究事例集やアセスメントシートの例なども提出させていただきました。今後よく研究して下さると思います

参考書籍は「にっぽんネウボラネットワーク」の榊原久子先生にご紹介いただきました。
・日本版「ネウボラ」構想(NPO法人 地域ケア政策ネットワーク
・ネウボラ フィンランドの出産・子育て支援(かもがわ出版)

引き続き動向を注視しつつ、私も研究の上、継続的に情報提供していきます。

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